「何か武道を始めてみたい」
「運動は苦手だけど、スポーツを始めたい」
と考えている方って案外多いと思います。
武道といえば日本の伝統の一つでもありますしね。
そんな方におすすめの武道が「弓道」です。
老若男女問わず、いつからでも始められますしずっと続けられます。
今回は揃えるべき弓道の道具や家でもできる練習法などをご紹介します。
弓道の歴史ってどれぐらいなのか知ってますか?
実は旧石器時代末期には、中近東アジアで狩猟をするために弓矢はあったといわれています。
日本では、石器時代の銅鐸(どうたく)には長弓が描かれていました。
さらに中国の魏志倭人伝にも、日本の弓の記録が残っているんだとか。
それから武器としての弓から、宮中行事や神事などの儀式的な面を持つようになるのですが、これは中国文化の影響。
その風習は今でも「流鏑馬(やぶさめ)」や「破魔矢(はまや)」といった形で残っています。
一方、武器としての弓矢は武家の時代になると、「小笠原流」「日置流」「本多流」
といろいろな流派がうまれました。
しかし、鉄砲が日本にやってきたことにより、武器ではなく心身の鍛錬に重きをおいた「弓道」へと変化していきます。
明治時代に入ると一時は衰退しかけたんですが、日清戦争や日露戦争で国家主義思想によって「心身鍛錬には武道がいい」と認識が改められて、現在にいたるというわけです。
オリンピック競技にもなっているアーチェリーも弓道と同じく弓を使います。
その違いってなんだか知ってますか?
大きな違いの一つが「照準器」。
アーチェリーは弓に照準器をつけますが、日本の弓道には照準器はつけません。
「じゃあどうやって狙いを定めているの?」と思いますよね?
弓道の場合、「心構えや身体が安定していて、正しく引けば的中する。的中しない場合には自分の心や技術を反省し、自分自身を鍛えなければならない」という考えがあります。
これが心身ともに鍛えられる理由でもあります。
さて、ここからがいよいよ本題です。
弓道を始めるにあたって、
「道具は何を揃えたらいいの?」
「道具の費用は?」
というのは絶対気になる部分です。
弓道の主な道具として次のようなものがあります。
・弓
・矢
・弦(つる)
・弓道着(袴や足袋など)
・ゆがけ(一般的には「かけ」と呼ぶ)
この中でも初心者でも続けていくなら必ず揃えておくべきなのが「ゆがけ」です。
ゆがけは鹿の革で作られた手袋のようなもので、右手につけて使用します。
なんで揃えておくべきなのかというと、個人の手にあったものを使うことが重要だからです。
また、はじめは固くても革がだんだんとやわらかくなり、力まずに弓を引くことにもつながります。
ゆがけは3万円台が相場。
長く続けるなら購入するべきです。
弓や矢といったものは弓道場でも借りることができるので、おいおい揃えていってもいいでしょう。
ちなみに弓はグラスファイバーで3万円~4万円台、矢は一番安価なものだと羽にターキー(七面鳥)を使ったジュラルミン矢で1万3000円(6本組)ほどで購入できます。
弓道は、弓道着や袴が必ずしも必要というわけではなく、弓道場によっては袴なども借りることができます。
初心者向けの教室などでは、Tシャツにジャージといった動きやすい服装で始められます。
しかし、ここで一つ注意。
弓道場には裸足で入ることができません。
そのため、靴下は必須です。
女性の場合はフットカバー等も避けたほうがいいでしょう。
スニーカーソックスぐらいの足の甲が隠れるものが無難です。
弓道初心者の場合、矢が的まで届かなかったり、矢が見当違いの方向に飛んでいくこともしばしば。
なので、初めて的中したときの嬉しさは想像以上なんです。
ここで「的に当てたい」という気持ちが出てしまうと、なかなか的中に結びつきません。
だからこそ、正しい弓の引き方を身につける必要があります。
初心者の方は、まず射法八節(しゃほうはっせつ)を声に出しながら鏡の前で射の練習をしてみましょう。
射法八節とは、弓を引く一連の流れのことです。
「足踏み」「胴造り」「弓構え」「打起し」「引分け」「会」「離れ」「残心」の8つをさします。
これが弓道の基本であり、初段審査の筆記試験にも必ず出るので声に出しながら覚えましょう。
一通りの流れをつかむことができたら、次はゴムを使った練習をおすすめします。
ほとんどの弓具店で「ゴム弓」というものを取り扱っています。
ゴム弓で練習することで、弓を引くイメージをつかむことができ、弓を引く筋力もつけることができます。
ゴム弓は2,000円程度で購入可能です。
また、形だけでなく弓道についても理解することが大切です。
弓道には「弓道教本」というものがあるのですが、内容が難しくて敬遠してしまいがち。
そこで初心者の方におすすめの本が「はじめての弓道: 美しい所作が身につく。心と体を鍛えて健やかにする。」(誠文堂新光社) 。
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写真も多く、解説も丁寧なので初心者向けの1冊として購入しても損しない内容です。
慣れてきたころに初心にかえって読み直すことで、自分の癖を把握することもできます。
弓道を始めるには、近くの弓道場にまずは見学に行ってみましょう。
初心者向けの教室を開催していることもあるので、申し込んでみるのも一つです。
同じレベルの人と一緒に稽古することで、切磋琢磨しあえる関係も築けます。
弓道場は全日本弓道連盟のサイトから探すことができます。
気軽に門を叩いてみてください。